《HOTな夏》とか聞いたことがあるけど
夏が暑いって当たり前だよね
◇ICEな夏◇
「隊長、デート行きません?VV」
「…外の暑さ知ってんのか?」
扇風機の前でカキ氷片手に涼んでいるに面倒くさそうに呟く
「アイス食べに行きたいんです♪」
そんな態度にもめげずには明るい笑顔で返して
日番谷の袖を引っ張った
「……ったく…貸しだぞ」
「はい!VV」
その時のの可愛らしい笑顔を見て
少し重かった気持ちも「まぁいいか」と軽くなった
.「涼し〜!VV」
日番谷の背中で楽しそうにはしゃぐ
「…俺は暑いっての…」
小さく呟かれた言葉は風を切る音でかき消された
「でもこうやってみると冬獅郎の背中って意外と広いよね」
「……意外ってなんだ」
は結構サバサバした性格で…少し天然も入っていて
いまだに時々分からなくなる
は本当に俺のことを想ってくれてるのだろうか
「…降りろ」
「は?」
でもそんなこと俺から聞くとか、ダサすぎだろ
だから絶対聞いてやらねぇ
その代わり、好きとも言わねぇからな
.
「涼し〜VV」
「…俺は暑いっての」
隊舎を出たとき「おんぶして?」って冗談で言ったらあっさり了解してくれた
「でもこうやってみると冬獅郎の背中って意外と広いよね」
「……意外ってなんだ」
平気な態度をとっていても心臓はずっとうるさく鳴りっぱなしで
よく“サバサバしてる”って言われるけど、それはただの照れ隠しにすぎなくて
すごく無愛想な女だと思われてるんじゃないかって不安になる
でも冬獅郎もあんまり気持ちを口に出して言ってくれなくて
…あたしのこと本当に好きって思ってくれてるのかな
.
「これにしよ!」
そう言って取り出したアイスを冬獅郎の手が捉えた
そのまま自分の分とあたしの分のアイスを黙ってレジまで持って行き、戻ってくる
「ほらよ」
「あ…ありがと!」
冬獅郎はいつも何も言わず黙っておごってくれる
こう言ったらなんだけど、そこも好きなところで
…他の人にもこうやっておごるのかな
なんて考える自分が嫌になった
.
外に出ると蒸し暑い風が体を包み込んで
まだまだ夏だと実感する
「あそこ行こ」
せめて日陰だけでも…と木陰に非難した
二人っきりで静かな所に居ると、少し素直になれる気がして
「あたし…冬獅郎が好き」
冬獅郎があたしをどう思ってるかはハッキリ分からないけど
これだけは確実。
「冬獅郎が好きだよ」
.
…今、俺の顔は絶対赤くなっている
「冬獅郎が好きだよ」
好きだと言われたぐらいで顔を赤くするなんて
松本に知られたらからかわれるに違いない
ただ…あまりにも珍しいこと言うもんだから
「…俺も好きだ」
本当は俺から言うつもりだったんだけどな
まぁ…言われちまったもんは仕方がない
お返しって言ったらなんだが…
そのままの顔の横に手をついて
唇を塞いだ
.
辺りはびっくりするくらいに静かで
木の葉が擦れあう音だけが耳に届いてくる
「…っ……//」
唇が離れて顔を合わせる
少し赤く染まった冬獅郎の顔を見てあたしの顔もまた赤く染まった
照れ隠しのために呟いた言葉は―
「………不意打ち禁止。」
さっき買ったばかりのアイスも溶け出していて
やっぱり夏は暑かった
◆END◆
more*の矢野 楓様より頂きました。
《恋人で甘》という自分では書けそうにもない;リクエストにこんなにも素敵な夢で応えて下さいました!
矢野様ありがとうございます*
矢野 楓様のサイトはこちらです。⇒【more*】
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